雪が解けると…

スンバ

うず高いスンバの山。杉田玄白の「ターヘル・アナトミア」翻訳の話を思い出す。

春の嵐が来るころになると、雪がぐっと減る。鉛色の空が青空に変わり、心弾む季節となる。
とはいうものの、屋敷林(カイニョ)に囲まれた散居村生活では、逃れられない困りものもある。スンバ(スギの葉)だ。

今冬は大雪だったことに加え、風の強い日が多かったから、落ちてきたスンバが雪の中に何層にもなって詰まっていた。雪が解けると、庭一面にびっしり。
私が子供のころは、灯油ボイラーなどが普及しておらず、スンバが落ちると「風呂に入れる」などと喜んでいた。洋材が入り始め建築材に使うことはなくなっていたが、カイニョとともに生きる生活が、まだ残っていた。
カイニョは、砺波平野を開拓した先人が、家の周りの雑木林を残したものといわれる。塀代わりのコシバ(生垣)、北側の風呂場、台所の湿気を吸う竹、貴重な食料としての柿や桃、栗、クルミなどの果樹…。防風以外にも、夏の厳しい日差しを遮り、四季折々の自然豊かな住環境を作ってくれた。
現在、我が家のスギは太いもので直径80センチほどもある。戦時中の供出で伐採された後に植えられたもので、七十余年を経て大きくなるばかり。スンバの量も半端ではなく、枝が折れたり倒れたりすると、家屋にも被害が出かねない。
今年あたり、業者さんに頼んで2度目の間引きをしようと思っているが、費用を考えると頭が痛い。
 
 
 
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